ミライノオヤコ
昔はね、決まった時間に電車が来ることになっていたのよ。
すごいね。昔の人って魔法使いなの?
そういう約束だったのよ。
約束ってなぁに。
たとえば、前の日に、一時半に渋谷で待ち合わせね。って、言い合うの。
ええっ。まさかその通りに行動するの。
そうしないと会えなかったのよ。
めんどくさいことしてたんだね。
そうね。昔の人は知らなかったのね。自然にしているってことをね。
知らないわけないでしょ。自然にしてるって人間として当たり前のことなんだから。
ああ、そうね。当たり前のことをみんな忘れちゃってた時代があったのよ。
ウケる。めんどくさい。普通にしてる方が一番いい時空で会えるのにね。
そうね。きっとこわかったのよ。
なにが。
感覚を信じることが。
なに言ってんの。感覚を信じなかったらどうやって生きてゆくの。体に必要な食べ物も選べないじゃん。
カロリー計算をしたり、栄養素を考えながら調理していたのよ。
えええ。ますますめんどくさいね。匂いで一発でわかることなのに。昔の人って感覚がなかったの?
それがね、ちゃんとあったのよ。あるのに信じられないから、誰か自分より偉い人に教えてもらおうとか思ってたみたい。
きゃはは。バカだなぁ。人によって違うのに。
そうね。自分に必要なものは自分の体以外わからないのにね。
友達だって、会いたい時には思い出すじゃん。
昔の人は、思い出したからって、それは相手とは関係がないと信じ込んでいたのよ。
本当なのそれ?
何かあるから思い出すに決まってるじゃん。なにかのゲームだったのそれ。
ああ、そうかもね。