愛するものが壊れゆく

帰る!

つらい時ふと言ってしまう口癖です
家にいても
帰る!言うので
家人には実家に帰るのかと思われてました
違うんです
ここではないどこかもっと居心地の良い自分らしくいられるところへ!
なのです

さっき
ひとりで
帰る!言ってしまってました

ライのがんばりが空回りしているのを見て
諦めろよ!
と思ったりする
生きる努力がそこここで失敗し
水や餌や排泄物がちらかる

もーーーう頼むから下手に動かずにじっとしててくれよ!
と思う
そうしてわたしは3年半前も同じことを思っていた
忘れていたけど蘇ってきた
看病する人の気持ちというのは残酷だ
この世で最も愛している人間に対してこれだもの

ひとりですべてを抱えなくてはならなかったし
ひとりですべてなんて抱えきれなかったし
早く死んでくれたらいいのにねと言ってくれた友人の言葉に
心から救われたものだ

愛しているからこそ苦しかった
壊れていくひとつひとつを見つめている毎日は拷問だった
いっぺんに死んでくれよ
1日でケリつけてくれよ

3ヶ月は彼にとって最早の決着だったのだと思う
わたしたちは協力しあって人生を終わらせていった

ライと過ごす毎日は
壊れてゆく部品をぶら下げた機械が
まだ尚動き続けるのを止められず
無駄に多くの油をさしたり
生産もできないのに大量の電力を消費したりするのを見ているような状況だ

希望とはなんだろう
自分の最期のときも
誰かに思われるのだろう
早く決着をつけてくれよ、と
いやそれすらないかも知れない
愛されていることが前提なのだから
わたしを唯一の存在として愛し苦しんでくれる人は存在しないのだから

それが希望とも言える