お盆がゆく

彼が地上のどこにもいなくなった夜
病院から出て見上げた星空
生まれたばかりの赤ちゃんみたいな
なにもないのに全部あるみたいな
後にも先にもあんな気持ちは他にない
わたしのなかに今もそのまま
あの不思議な感覚は残っている

お葬式にはピンクのワンピを着た
誰になにを言われてもかまわなかった
あの人に可愛いと思われる服で
そこに居たかったんだ

あとからわかることは
友達もみんな悲しくて辛くて
倒れるほど泣きたかったのだということ
なのに
わたしだけを泣かせてくれて
淡々とそばにいて
ごはんを食べさせてくれたり
対外的な処理をしてくれたり
笑顔で優しくしてくれた
穏やかで平和な空気のなか
親戚が集まったときの末っ子みたいに
甘やかしてもらったのだ

お盆にいたずらな笑みを浮かべた君が
わたしのそばに帰ってきていたこと
ちゃんと知っていたよ
・・・・・・・
周りの人はな
おまえが思う以上に手間ひまかけて愛情くれてるんだぞ
いいか
感謝する気持ちを忘れるなよ絶対
じゃあな
またな
元気でがんばれよ
・・・・・・・
お盆ありがとう
大切な人たちありがとう
さてさて
日常生活にもどります
まずはお掃除でもしましょうか