時々踏む地雷

油断していた

伊勢丹の地下へふらりと寄り
自分に自由に買ってあげようと思い立ったとき
思い出してしまった
あっこごはん作れないんだろ
好きなもの買え
ふらふらの細い体で
一緒にイタリアンを買ってくれたこと
お店の人と楽しくお話ししたこと
遺言とか
行く末を案じるとか
そんな大げさなことはなにもしない
ただ
今日のわたしが幸せであるように
体力の限りを尽くしてくれた
そんな犬みたいなひとだった
にじんでショーケースが見えない
なにも買えず地下鉄改札に向かう