安心しなよ

完全であることへの渇望があった
そこへ至るまでの道のりを
もどかしく憎み
先を急いでいた
完全を見届けるやいなや
次の完全を目指して
靴を脱ぐ暇もなく
すぐに出発するのだった
苦しかった

完全に至るには
なに一つも誰ひとりをもおろそかにできないと知ったとき
急ぐのをやめた
ひとつものを動かすと場所が空く
またひとつ動かすと場所が空く
そうして物事は回ってゆく
このたったひとつを世界一大切に扱う
そのことを繰り返すだけで良いのだった
目指すことも
急ぐこともなく
楽に
わたしは既に完全なのだった