これさえあれば

誰が言ったか知らないけどブラックシードオイルってものは「死以外のすべてを癒す」らしい。そのインパクトあるキャッチコピーに惹かれ、手に入れてみた。かなり好みの風味なので、料理にかけては食している。今のところすべてを癒している感は特にないんだけれども。

 

先日会った友人が「ヘナはなんにでも効く」と言っていた。ヘナと言ったら髪を染めるものくらいに思っていた。友人は長年悩んでいた中耳炎と外耳炎が治ったらしい。アトピーが治った人もいると言っていた。そんなにすごいならとりあえず髪だけでも染めとこうと思って、ヘナで有名なサロンに行ってみた。植物なので頭皮に塗りたくっても安心感があった。化学薬品で染めるときの嫌な感じがなかったのはとても嬉しかった。

サロンの人は「デトックス効果がかなりある」と言っていた。これからなにか治るのだろうか。

 

布良(ふら)という名前のコットンの製品を勧められたことがあった。無農薬有機栽培の特別な綿を使っているという。良さそうだったので買った。ハンカチサイズのものから大きいのはシーツまで。頭皮をこするとシャンプーいらずになるとか、そのシーツで寝ると病気が良くなった体験なども聞いた。確かにとても肌触りは良くて、安心して眠ったり顔を拭いたり、ほんとに気持ちが良かった。

 

これらの話になんとなく共通するのは、ひとつのものですべてが解決するという空気感である。冷静に考えたら、ひとつのものがすべてを解決するなんてことはないと思う。でも、ある意味において、それはあり得るのかもしれない。物そのものが解決するのではなくて、物は単なる触媒となり、その人の生きる姿勢のようなところに働きかけるのではないだろうか。精神的な意味だけでなく肉体的な働きを制御する脳のどこかとか?

 

わたしはチベット体操を毎日している。効果として、体が整うだけでなくて、人生のあらゆる、本当にあらゆるところに影響している。自分がどんどん変わってゆくのがわかるのだ。チベット体操をすると、体の中がなんとも言えないすっきりした感じになる。それは例えるならパイプの汚れがすっきり取れて流れが良くなるようなイメージだ。気持ちもなぜか晴れ晴れとして、さあやるぞ〜って気持ちになるのである。これも見方によっては「チベット体操はすべてを癒す」と言えなくもないと思う。

 

自分のなにかが変わるとしたら、そのタイミングは出会いだと思う。物との出会い、人との出会い、環境との出会い・・・。なにが触媒になるのかは、人によって違うのだろう。いや、しかし、ブラックシードオイルは本当に死以外のすべてを癒すかもしれないし、ヘナはなんでも治しちゃうのかもしれないし、布良はあらゆる毒素を吸いとるのかもしれない。

 

謎は深い。