豚肉かく語りき

冷しゃぶサラダ
夏のスタミナ源としてかなり重宝なメニューです
食欲がない時もスルスル入るし
ゴマだれとか作るのも簡単で美味しいですしね
今夜のは高級なお肉でした
自分の原材料ですからいいものをと

食べ始めたときなぜか思い出したのは
犬猫の殺処分場のことでした
殺処分ゼロを目指して
なんていう活動には諸手をあげて賛成のわたくしです
食卓のすぐ目の前にライが横たわっています
ライの太ももが目に入ります
口の中には冷しゃぶが
豚さん
お肉もらっちゃった
あなたの命むだにはしないよ
そう言おうとして心の中でその言葉が虚しくこだましました
ウソだ
そんなきれいごと言ってる自分に
これ以上の矛盾はあるだろうかとツッコミを入れるもう一人の自分
大好きな冷しゃぶサラダ
ものすごく美味しくできたと自負して食卓に並べたのに
もはやまったく美味しくありません
噛むたびに自分に憤り
次第に気持ち悪くなってきました
今までその矛盾について気がついていなかったわけではありません
むしろ知識としてはよくよく知っており
実は何度か肉食をやめようと試みたことがあります
けれど食べたくなるのです
美味しいから
じっさい元気になるから
やっぱり食べちゃおう
豚さん鶏さんあなたの命をむだにはしないよ
そう唱えつつ
でも今日
もうそのセリフを心から言えなくなりました
口の中で噛まれる豚肉から
責められるセンセーション
もうこれ以上は無理な気がします
ウソをつくのは無理な気がします
そんなこと言って
またしばらくしたら肉をモリモリ喰らう自分がいたら本当にどうしよう
約束も決意もするつもりはないけれど
一つだけ確かなことは
もう無邪気に肉を噛めません
ということ